あらゆるものが市場で買えてしまう社会に警鐘を鳴らす! マイケル・サンデル氏の「それをお金で買いますか」

 

・1晩82ドル払えば、清潔で静かな「刑務所の独房」に格上げできる

・15万ドル払えば、絶滅の危機に瀕したクロサイを撃つことができる

・13ユーロ払えば、1トンの炭素を大気中に排出する権利が買える

 

何か違和感がありませんか?

お金さえ払えば、どんなものを買っても良いのか?

と感じられませんか。

 

マイケル・サンデル氏の「それをお金で買いますか」では、このような違和感を覚える事例が、これでもか、とばかりに書かれています。

サンデル氏と言えば、コミュニタリアニズム(共同体主義)の哲学者で、「ハーバード白熱教室」「正義の話」で有名な方ですね。

今回は、そのようなサンデル氏が書かれた本「それをお金で買いますか」についてご紹介したいと思います。

 

サンデル氏は言います。

大切にすべき価値とは何か、またそれはなぜかという点について、人々の意見は分かれる。

したがって、お金で買うことが許されるものと許されないものを決めるには、社会・市民生活のさまざまな領域を律すべき価値は何かを決めなければならない。

この問題をいかに考えぬくかが、本書のテーマである。

 

本来、市場になじまないようなものが、ここ30年間で次々と市場化された状況(「市場勝利主義」と呼ばれています)こそが、現代の大きな問題点であり、そのことを本書において問題提起されているのです。

 

では、なぜ、すべてのものが売り物になる社会が問題なのか?

 

その理由は大きく分けて2つあります。

1つは。

お金で買えるものが増えれば増えるほど、お金の重要性が増し、裕福であることが重要になるのです。

お金を持っていることが、世界におけるあらゆる違いを生み出すことになるのです。

現在よく言われる「格差」にもつながるのではないでしょうか。

もう1つは。

生きていくうえで大切なものに値段を付けると、それが腐敗する恐れがあるのです。

例えば、子どもが本を読む度にお金を払っていると、子供は本を読むようになるかもしれません。

が、これでは、読書というものが心の満足を味わせてくれるもの、楽しいものではなく、あたかも面倒な仕事だと思え、と教えているようなものなのです。

お金に換算することで、そのもの固有の価値を貶めているのです。

 

重ねて申し上げますが、

この本では、上記以外にも「MLBでのホームラン・ボールの過度な値付け→モノによっては、何と、1億円を超えるのです」など、身近な事例をテーマに、サンデル氏の問題提起が、これでもか、とばかりに列記されています。

その事例数が多くて、読んでいて辛くなる程です。

 

けれども。

これは、世の中のほんの一部の話に過ぎないと思います。

凄まじいスピードで、あらゆるものの市場化が加速しているのです。

根底には、「モノを所有する」という概念の行き過ぎがあるように思えます。道徳や尊厳といったものが、市場経済におけるモノ・商品になってしまっているところに違和感を覚えます。

そのような状況について、今一度立ち止まって考えてみる良いきっかけを与えてくれる、そのような本ではないかと思います。

 

 

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