著名経済学者の中谷巌氏による「資本主義以後の世界」の考察は参考になります。

これまで、佐伯啓思氏、水野和夫氏などによる、資本主義、グローバリズムに対し警鐘を鳴らす書籍についてご紹介させて頂きました。

では、そのような危機的状況に対して解決策は何なのか?

現在進行形といったところなのでしょう。

まだまだ、決定打となる解決策は模索中だと思います。

そんな中、マクロな具体案までには至っていないかもしれませんが、その萌芽とも言うべき世界について書かれた本があります。

今回は、まず一冊目、中谷巌氏の本「資本主義以後の世界について紹介させて頂きます。

中谷巌氏といえば、元々、バリバリの経済学者で、マクロ経済学に関する教科書も書いていらっしゃるくらいの方です。

グローバリズムも推進されていたように記憶しています。

そんな中谷氏ですが、2008年に資本主義はなぜ自壊したのかという現代資本主義からの転向を表明する本を上梓され、さらに標題の本を書かれたわけです。

さて、この本において中谷氏は、

資本主義以降の世界は「贈与」がポイントになる、

と言われています。

(貨幣)交換と対比されるものとしての、贈与です。

さらには、

本来商品化してはならない労働、資本、土地を商品化し、

それらを市場における「交換」の対象としたことこそ、

現代社会の諸問題を生み出す源となっているのではないか。

という問題提起をされています。私は上記に加えて「食糧」も加わると思います。

競争を是とする資本主義の性格上、究極的には何でも交換対象になり得ます。

現代社会を観察すれば、何でもお金に換算する、という風潮がますます強くなっていることを感じます。労働力は「取り換えのきく費用」として扱われ、資本、土地、食糧は投機の対象となっています。

本来、生活の基本となる食、住、仕事については、人々が生活を営む上で、国家が守らなければならないものであると思います。

また、中谷氏は、贈与の精神が消えていった原因に「人間が大地(自然の恵み)から引き離されたこと」がある、とも言われています。

自然を征服するのではなく、自然と共存する。

大いに同意できますね。

そして。

中谷氏は、交換から贈与社会へ転換するにあたっての具体案(アイデア)を記述されています。

会社をリタイアした高齢者などが知恵を伝承(贈与)する社会。

・地方疲弊への処方箋としての、贈与・相互扶助の精神の復活。

ちょっと視点は変わりますが、

・中間層再生のための税制度。

・グローバルマネーの規制。

・長期的視野も踏まえた農業の復活。

などですね。

精査が必要な点はあるでしょうが、素晴らしい考え方ですね。

また、贈与の社会を実現するには、何よりも大きな必要条件があります。

もちろん、中谷氏も書かれていますが、「利他の精神」が鍵になります。

今の社会システムとは、異なる精神かも知れません。

今後も我々がしっかりと考えていくことが大切なのでしょうね。

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