「ゆとりの時間を取り戻す!」「貯めこまない!」 -ミヒャエル・エンデの【モモ】(おすすめ本)-

 

児童文学というジャンルになるのでしょうか。

ドイツのミヒャエル・エンデによる「モモ 」という作品があります。

この作品の主題の一つは、

「せわしなく心の余裕をなくした現代人への警鐘」

といったところでしょうか。

 

まずは、ごく簡単にストーリーを紹介しましょう。

 

ローマを彷彿させる円形劇場に住みついた「モモ」という少女が、この物語の主人公です。モモには、人の悩みを聴いて(傾聴して)、その人の悩みを解消し癒す、という才能がありました。

そして街の人々は働いている途中、モモの所を訪れて話を聴いてもらったり、街の人々同士でおしゃべりに興じるなど、貧しくとも豊かな生活をしていたことが伺えます。

 

このような平穏な日々が続いていたのですが、ある日・・・

「灰色の男たち」が現れます。

 

彼らは人々に対し「時間を節約して、時間貯蓄銀行に時間を預ければ、それがどんどん増えて返ってくる」と言い、(実は貯蓄などではなく、実際は)人々から時間を奪っていきます。

そうすることで、彼らによって街中の人々が次々と「ゆとりある生活」を失っいきます。

 

そんな中、モモにも魔の手が近寄ってきて・・・

 

モモは、灰色の男たちと対決し・・・  モモは??

 

これ以上ストーリーを書かないことにします。

 

この物語では、

伝統的な生活を彷彿させる「一見無駄な世間話をする、など日々ゆったりと時間が流れる生活」をするモモたちと、現代を彷彿させる「人々に時間を節約(=効率重視)させ、人々に時間を貯蓄させる(実は、時間を奪い取っている)」灰色の男たちとの対比が大きなポイントとなります。

 

このように対比させることによって、

「ゆとりを持つ、自分の内面に向かい合う、無駄や冗長性を大切にする」ということの大切さに気づかせてくれます。

 

さらには「人々が節約することにより貯め込んだ(=奪い取られた)時間を貯蓄する。このことで利子が付き、どんどんと時間が増えていくという点も見逃せません。

「利子が利子を呼び」「持てるモノが加速度的に増えていく」ということで「もっともっと貯め込みたい」ことにつながるという現代を見越したような鋭い洞察もあるわけです。

そして、実はこの点がもう一つの主題と言えるのです。

 

この本が書かれた1973年時点は、ドイツも経済成長期だったはずです。

どんどんと効率化、心のゆとりをなくしていく生活に対し、大きな危機感を抱き、「童話」という形で世に問題提起されたということですね。

 

本書刊行時の1973年から40年以上たった今、比較にならない程、社会のスピードが加速化しています。

 

生活の効率がアップすることは、一面で良いことは確かです。

けれども、今一度「失った豊かさ」を見直すことも大切である、と思います。

 

ストーリーとか主題について、ある程度書いてきましたが、このことにより読んだ時の感動が薄まることはありません!

モモや住民とのやり取り、灰色の男たちの言葉、彼らとの対決など臨場感溢れ、楽しみ、感動できると思います。

 

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